設備投資の税額控除の上限と繰越|20%・90%の考え方
税額控除は「取得価額×控除率」がそのまま差し引けるとは限りません。制度ごとの上限と、複数の制度を合わせたときの上限があり、使い切れない分は繰り越せる年数も制度で違います。
制度ごとの上限と繰越
| 制度 | 上限 | 控除しきれない額の繰越 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 中小企業経営強化税制 | 投資促進税制と合計で調整前法人税額の20% | 1年 | 国税庁No.5434 |
| 中小企業投資促進税制 | 経営強化税制と合計で20% | 1年 | 国税庁No.5433 |
| 中小企業向け賃上げ促進税制 | 調整前法人税額の20% | 5年(控除する年度も給与等が前年度を上回ること) | 国税庁No.5927-2 |
| 特定生産性向上設備等投資促進税制 | 調整前法人税額の20% | 認定事業適応事業者など一定の場合に3年 | 国税庁No.5924 |
全体の上限:90%
国税庁No.5450(令和7年4月1日現在法令等)は、一つの事業年度で複数の特別税額控除を受け、その合計が調整前法人税額の90%を超える場合、超える部分は控除できないとしています。経営強化税制、投資促進税制、中小企業向け賃上げ促進税制で生じた超過額は、それぞれの繰越税額控除限度超過額として翌期以後に繰り越せる対象に挙げられています。
本稿の計算(仮の数字)
調整前法人税額300万円、経営強化税制の控除可能額100万円、中小企業向け賃上げ促進税制の控除可能額80万円
経営強化税制:上限300万円×20%=60万円。控除60万円、繰越40万円(1年)。
賃上げ促進税制:上限300万円×20%=60万円。控除60万円、繰越20万円(5年)。
合計120万円は300万円×90%=270万円以内なので、90%の調整はかかりません。
実際の計算は申告書の別表で行い、他の税額控除や地方法人税の扱いもあるため、税理士に確認してください。
繰越を使うための手続
- 控除限度超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に、超過額の明細書を連続して添付する
- 繰越控除を受ける事業年度の申告書に、控除額と計算明細書を記載・添付する
- 賃上げ促進税制の繰越は、控除する年度に雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超えていることが条件
上限を踏まえた制度選び
経営強化税制では、同じ設備について税額控除の代わりに即時償却を選ぶこともできます。調整前法人税額が小さく控除枠を使い切れない見込みなら、即時償却や繰越の期間を含めて比較することになります(償却と税額控除の違い)。
相談先・申込先の選び方
- 複数の税額控除を同時に使う年度の計算:顧問税理士(申告書の別表の作成)
- 繰越の手続や明細書の一般的な質問:国税庁の電話相談センター
- 国税庁 タックスアンサーNo.5434「中小企業経営強化税制」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5433「中小企業投資促進税制」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5927-2「中小企業者等における賃上げ促進税制」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5924「特定生産性向上設備等を取得した場合の特別償却または税額控除」(令和8年7月31日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5450「法人税の額から控除される特別控除額の特例」(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁「税についての相談窓口」
確認日:2026年10月12日
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