「中小企業者」の範囲は制度ごとに違う|資本金・従業員数
「資本金1億円以下だから中小企業」とは限りません。法人税の制度は租税特別措置法の定義、先端設備等導入計画は中小企業等経営強化法の定義を使い、さらに制度ごとに追加の要件があります。
租税特別措置法上の中小企業者
- 資本金または出資金の額が1億円以下の法人。ただし、同一の大規模法人に発行済株式の1/2以上を保有される法人、複数の大規模法人に2/3以上を保有される法人は除く
- 資本または出資を有しない法人は、常時使用する従業員が1,000人以下
- 大規模法人:資本金1億円超の法人、従業員1,000人超の資本なし法人、大法人と完全支配関係がある普通法人など(中小企業投資育成株式会社を除く)
- 適用除外事業者:前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均が15億円を超える法人は除外
出典:国税庁No.5432(令和8年4月1日現在法令等)。経営強化税制、投資促進税制、少額資産の特例、中小企業向け賃上げ促進税制はこの定義を基本にしています。
制度ごとの追加要件
| 制度 | 追加で確認すること | 出典 |
|---|---|---|
| 少額減価償却資産の特例 | 常時使用する従業員数400人以下(令和8年4月1日以後の取得等。特定法人は300人以下) | 国税庁No.5408 |
| 経営強化税制の税額控除率 | 資本金3,000万円以下の法人等は10%、3,000万円超は7% | 国税庁No.5434 |
| 投資促進税制の税額控除 | 資本金3,000万円以下の法人等に限る | 国税庁No.5433 |
| 経営強化税制E類型 | 売上高10億円超90億円未満の法人 | 中小企業庁手引き |
| 先端設備等導入計画 | 中小企業等経営強化法の基準(業種別の資本金・従業員数) | 先端設備の手引き |
中小企業等経営強化法の基準(先端設備等導入計画)
| 業種 | 資本金・出資総額 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
ゴム製品製造業、ソフトウエア業・情報処理サービス業、旅館業には別の基準があります(先端設備の手引き)。
本稿の計算(仮の数字)
資本金2億円・従業員150人の製造業の法人
先端設備等導入計画の基準(製造業3億円以下・300人以下)では対象になり得ますが、資本金1億円を超えるため租税特別措置法上の中小企業者には当たらず、経営強化税制や少額資産の特例は使えません。同じ会社でも制度によって結論が分かれる例です。
判定の時点
少額資産の特例では、中小企業者等に当たるかを原則として資産の取得日と事業供用日の現況で判定するとされています(国税庁No.5408)。増資や株主の異動、従業員数の増加が見込まれる年度は、取得の時期と合わせて確認が必要です。
相談先・申込先の選び方
- 株主構成(大規模法人の保有割合)を含めた判定:顧問税理士
- 計画認定の対象者に当たるか:先端設備は市区町村、経営力向上計画は提出先の主務大臣の窓口
- 一般的な定義の確認:国税庁の電話相談センター
- 国税庁 タックスアンサーNo.5432(措置法上の中小法人及び中小企業者の範囲)(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5434「中小企業経営強化税制」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5433「中小企業投資促進税制」(令和8年4月1日現在法令等)
- 中小企業庁「中小企業経営強化税制・金融支援活用の手引き」(令和8年4月1日版)
- 中小企業庁「先端設備等導入計画の概要(手引き)」(令和7年4月版)
- 国税庁「税についての相談窓口」
確認日:2026年10月12日
月額だけでなく、総額と条件も見てみよう。